2025年4月16日
理事長の信夫です。
私が遺言執行を預かっている方の納骨式を執り行いました。
すべては、病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)さんの一本の電話から始まりました。
「入院中の患者様が、遺言を遺されたいと仰っています。お話を聞いていただけますか。」
私は「意思疎通は可能ですか。」と尋ねると、MSWは、
「意思疎通は可能ですが、食事は取れていません。今後、治療は行わない方向性です。」とおっしゃいました。
私は「すぐに面談しましょう。明日、病院に伺います。」と伝えました。
翌日、病院に到着し、MSWが看護師に連絡したところ、
「先程から体調が急変し、本日の面談は難しいです。すみませんが、一週間後に延期してください。」とのことでした。
私は一週間後に面談をセッティングし、病院を後にしました。
その日の夕方、MSWから連絡があり、
「先程、主治医から予後4週間と言われました。食事も取れないなど、厳しい状況が続いているため、今回は難しいですね。」とおっしゃいました。
しかし、私は諦めませんでした。
「本人の意思が明確で、遺言の内容が決まっているのであれば、間に合うかもしれません。明日改めて伺います。」と伝え、MSWと綿密な打合せを行い、すぐに公証役場へ連絡を取りました。
「明日、病院に出張可能ですか。」
公証人からは「12時から13時までなら対応可能です。12時に病院へ向かいます」との返答をいただきました。
翌朝10時、私は患者様と面談し、ご本人の意思をしっかり確認しました。
そのまま病院に残り、遺言公正証書原案を完成させ、公証役場にメールで送りました。
12時、公証人が病室に到着し、無事に公正証書を作成することができました。
その公正証書作成の6日後、患者様は急逝されました。
私は、死後事務委任を受任している会社の担当者と共に、本人の意思に基づき、公正証書の内容に従って火葬と納骨を執り行いました。
納骨式には、ご本人の職場の方も参列してくださいました。
職場の方からは、
「まさかこんなに早く亡くなるとは思っていませんでした。生前、身近にご家族がいらっしゃらないと伺っていたので、万が一の場合は、私たちが色々とお手伝いをしなければと思っていました。でも、ご自身で遺言公正証書を作成し、この場所に納骨され、今日こうして手を合わせることができて、ほっとしています。」という言葉をいただきました。
春の陽光が降り注ぐ穏やかな納骨場所で、職場の方にもご供養いただき、ご本人も喜んでいらっしゃることと思います。
ご本人の尊厳ある最期に立ち会えたこと、そしてその支援ができたことに心から感謝いたします。
継ぐサポ 信夫