2023年4月17日
介護度の高い93歳のお母様と未婚の一人息子というご家族の支援をさせて頂いて、改めて強く感じたことをお話します。
私たちが関わったきっかけは、お母様の介護施設を紹介した会社からのご相談でした。
ご子息は大病を患っており、もしかするとお母様より先に亡くなってしまうかもしれないという状況で、ご子息が病院へ入院される際、緊急時の対応や身元引受けをする役割がお母様では難しく、私たち都民シルバーサポートセンターがご子息の身元保証をお受けすることになりました。
身元保証では定期的な生活サポートをしており、ご子息と連絡を取っておりましたが、ある日突然連絡が取れなくなり心配していると、「体調がすぐれないので入院することになった」とご本人から連絡がありました。
翌日、ご子息の様子を見に伺うと、明らかに今までとは違う顔の浮腫みや表情の異変がありました。
この時まず頭をよぎったのは、“このままお母様より先にご子息が亡くなってしまうとご子息の死後対応は誰ができるのか?その後残されたお母様の死後対応は誰がするのか?”ということです。
何もしなければ、地方自治体に迷惑をかけることになり、ご本人が入りたいお墓にも入れなくなってしまいます。
そうならないために、一日も早くご子息とお母様の死後事務委任契約と遺言の公正証書作成を進める必要がありました。そこで当団体と連携している行政書士に無理を言って、最速で段取りをしてもらい、なんとか2週間後に公正証書作成の日を迎えることができました。
公正証書作成の場所は、ご子息が入院されている病室です。
体調がすぐれない中、ご子息は「母のためにも頑張る」と力強くおっしゃり、約30分の時間をかけ、無事に公正証書の作成が完了しました。
その約二週間後、お母様の公正証書作成が完了した頃、ご子息の容態が急変し、意識レベルも低く、会話もできないほどの状態となってしまいました。
この時強く感じたのは、人の身体の変化は時に予測以上に早いということです。
今回はご子息の身体の変化を察知し、早め早めの対策を行うことで何とか間に合うことができましたが、もしこれが少し遅かったらと考えると、背筋がぞっとする思いです。
私たち都民シルバーサポートセンターは、今回のケース以外にも、もう少し早く対策ができていたらこんな事にならなかったのにという方々を何度も見てきています。
今回のお話を通じて、将来起こるかもしれない問題や不安に対する対策は、一日でも早く講じることが必要なんだということに気づいていただけますと幸いです。
継ぐサポ