2022年11月10日
先日お手伝いさせて頂いた遺言公正証書作成で、とても感動的な体験をしました。
この遺言作成を依頼したМ様は、癌末期で死期が迫っている中、
『認知症の奥様に全財産を確実に相続させたい』という希望があり、それを叶える為、早急に遺言公正証書の作成にとりかかる事になりました。
М様の法定相続人には、奥様とご兄弟がいらっしゃいます。
そのため、遺言が無いと、奥様とご兄弟の間で遺産分割協議により相続の割合を決める事となり、兄弟の誰かが反対すると、全財産を奥様に相続させる事ができなくなってしまいます。
ご相談頂いたのは6月の中旬。
死期も迫っていることから、早急に公証人の都合をつけなければと働きかけをしましたが、返ってきた回答は1ヶ月後の7月中旬になるというものでした。
この日程では、公正証書を作成する前に亡くなってしまうかもしれないと考え、更に事情を詳細に説明し、「キャンセルが出たらいつでも対応できるよう準備をしておくので、とにかく直近で可能な日程を最優先に進めてほしい」と公証人に熱い想いを伝えました。
その結果、翌日に連絡が入り、日程を早める事ができ、6月下旬に何とか可能だという回答を頂きました。
それを受け、早急に遺言の原案作成を進め、いざ公正証書作成の当日。
遺言公正証書作成の証人として同席した私は、М様の様態を見て、正直、公正証書の作成ができるかどうかとても不安になりました。
しかし、公証人の方が、「これから遺言の公正証書を作成しますよ」「これは残される奥様に全財産を相続させたいと願うМ様のお気持ちを実現させるものですよ」「頑張ってくださいね」と声をかけると、横になっていたМ様がゆっくりと起き上がり、虚ろだった目もしっかりと開き、公証人が読み上げる遺言の内容に耳を傾け始めたのです。
最後に、「この内容でよろしいですか」と公証人が尋ねると、しっかりとした口調で「はい」と意思表示をしてくれました。
こうして、無事、公正証書の作成ができたのですが、М様の奥様への想いの強さと生命力の強さが無ければ、おそらく作成出来ていなかったのではと思うと、とても感動的な場面に立ち合わせて頂き、ありがたい気持ちになりました。
また、このようにМ様の想いの実現に向けて日程調整して頂いた公証人には、心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
これからも皆様の一日一日を大切にご相談対応していきたいと思います。
継ぐサポ