2022年8月8日
遺言について相談対応をしたときのお話です。
相談者のAさんは、配偶者はすでにご逝去されており、3人のお子様が法定相続人になります。
Aさんは自宅と金融資産を相続財産としてお持ちで、
「子ども達が将来喧嘩にならないよう遺産を分け与えたいのだが、どのようにすれば良いか」というご相談でした。
そこでまずは、遺言がない場合のリスクと、遺言がある場合のメリットについてご説明しました。
もしAさんが遺言を残さなかった場合、お子様たちで不動産は持分1/3ずつ共有し、現金も1/3ずつ法定相続分で分け合う形となります。
この「不動産の共有」が将来的なリスクとなり得ます。
一般的に共有持分の売却が難しく、不動産を維持していく上での経済的な負担に対し、共有者間で揉め事になるケースがあるからです。
一方、遺言で自宅は長男、金融資産は次男と三男に1/2ずつというように記しておけば、「不動産の共有」を避ける事ができます。
仮に、不動産の価値と、分配した金融資産の価値に乖離があったとしても、最低限遺産をもらえる権利(遺留分)に抵触していなければ、Aさんの想いも実現でき、将来的な兄弟間の揉め事の予防にも繋がります。
特に被相続人の方がご健在のうちに兄弟間にわだかまりがあるような場合は、遺言の作成を強くお勧めします。
以上のことから、Aさんは今回遺言を残す決断をすることになった訳ですが、次のブログでは、自分で書く自筆証書遺言と、公証人に作成してもらう公正証書遺言のどちらを残すのが良いのかというお話をさせて頂きます。
継ぐサポ