2024年3月21日

支援の枠組みができず旅立ってしまいました


今回は、同じようなケースにならないよう、
残念な結果となった支援のお話をご紹介します。

看護師さんから入院中の患者さんについてご相談がありました。
「ガン末期で親族と疎遠な方がいるので死後対応の枠組みを作りたい。
 寄付も希望されているため相談に乗ってほしい」とのことでした。

早速、病院でご本人と面談し、
ご希望を実現するには「死後事務委任契約」と「遺言」を公正証書にする必要があることをお伝えし、
次回その公正証書作成のための打合せをすることでお別れをしました。

その後、看護師さんから電話があり、
「患者さんが『在宅で最期を迎えたい』という強い希望があるため、急遽退院して自宅に戻ることになりました。
 打合せについては担当のケアマネジャーさんと連絡をとって日程調整をしてください」
とのことでした。

ご相談者様(患者さん)の予後が短いことを聞いていたので、
「早急に面談しなければ」との想いで、退院のタイミングですぐにケアマネジャーさんに連絡をしましたが、
その時は電話がつながらず、留守番電話に用件を残しました。

折り返しの連絡を待っていましたが、一向に連絡がなく、その後も何度か連絡を試みても繋がらず、
一週間が経過した頃にやっとお電話を頂きました。

すぐにご相談者様とお会いし、公正証書作成のご要望を伺い、これで準備を進められると安堵しました。
そのわずか3日後、ケアマネジャーさんよりご相談者様が亡くなられたとの連絡がありました。

ケアマネジャーさんは
「この方と何か契約をしていますか?
身寄りの方の名前も連絡先も分からないので、亡くなった後の事が何もできません。
何とかなりませんか?」
と、とても困っている様子でした。

たまたま、公正証書作成にあたり、唯一、疎遠の妹さんの連絡先を聞いていたので、
「ダメもとで相談してみます」と電話を切り、すぐに妹さんに連絡すると、
「血のつながった兄なので最後くらいは面倒を見ます」
と言っていただき、事なきを得ました。

しかし結果的に、迷惑をかけたくないと思っていた妹に迷惑をかけ、
ご自身が希望する相続も叶わなくなってしまいました。

もし、退院後すぐにケアマネジャーさんと連絡が取れていれば、
公正証書の作成が間に合っていたのにと思うと、とても残念です。

このような事にならないよう、今後より一層、おひとりさま支援の重要性を訴求し、
ケアマネジャーさんともっと連携を深められるよう努めてまいります。
妹さんにはご了承頂きましたので、この相談者の方が少しでも報われるよう、火葬のお立合いをしてお焼香をして参ります。

継ぐサポ

 

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