理事長の信夫です。私が遺言執行を預かっている方との物語です。
私とこの方との出会いは今年の1月です。
ご家族と疎遠で、唯一頼りにしていたお姉さまに先立たれ、担当ケアマネジャーが、この方の今と死後対応について心配になりご相談いただきました。
初回面談で、ご本人の希望を丁寧に聞き取りました。
「自分が亡くなったら、姉と同じお寺に納骨してほしい。」
「親族とは疎遠なので、遺産は友人にあげたい。」
「自分の葬儀は、誰にも立会させないで直葬してほしい。最低金額でやってほしい。」
これらの希望を叶えるには、遺言と死後事務委任契約が必要です。
そして費用はかかりますが、全て公正証書での作成が重要です。
公正証書で作成することで、この方の法定相続人ともらう人との間でのトラブル防止になります。
3回面談し、遺言の内容を説明しました。
ただこの方は耳が遠く、「聞こえないよ」と仰るので、ケアマネジャーから「サランラップの芯を使うといいわよ」と教えていただき、サランラップの芯を使って説明しました。
3回目の面談後、公証人にご自宅への出張対応を依頼しました。
公正証書作成日の前日、体調は大丈夫かなと思い、私はご自宅を訪問しました。
「体調は大丈夫だよ。でも一つお願いしたいことがある。遺言の内容は変えなくていいんだが、直葬のときに俺のことを知らない人だけが関わるのはやっぱり寂しいな。お前だけは立ち会ってほしい。」と仰り、私は「わかりました。私だけ立ち会います。」と約束しました。
その後、体調を崩され、入退院を繰り返し、11月初旬にご逝去されました。
私は、直葬の前日にこの方のご自宅に行きました。
棺の中に、愛用されていた品を入れてあげたいと思ったからです。
一度だけこの方のスーツ姿を見たことがあり、その時に、「良いネクタイしてますね。」と言ったら笑っていたので、ネクタイを1本入れることにしました。
直葬当日、私は斎場に向かいご遺体と対面しました。
ご本人が病院に持っていっていた手帳と写真、そしてネクタイを棺に納め、お花を供えました。
私はその方に、
「お姉さまが眠るお寺の住職と話しました。ご希望通りお姉さまと同じお寺に納骨させていただきます。約束守りましたよ。安らかにお眠りください。」
と伝え送り出しました。
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